Apr 2, 2009

『水族館の通になる』

中村 元 『水族館の通になる―年間3千万人を魅了する楽園の謎』

水族館へは、土地柄とくに小さいころはよく行ったが、言われてみれば水族館ほど謎だらけの存在もないかもしれない。

たとえば、魚はいつ寝るのか。魚は死んだら食べるのか。なぜ水槽は割れないのか。地震が起きたらどうなるのか。エサはどこから取ってくるのか。夏のペンギンは暑くないのか。ラッコはなぜ1日10キロも食事を取るのに太らないのか。なぜ日本の水族館でわざわざ飼育するのか。大阪海遊館のジンベイザメはどこから運んでどうやって中に入れたのか。イルカやアシカのショーはどうやって訓練しているのか…。ホオジロザメの水槽はどうやって洗うのか。体重2トン、ボブサップそっくりのアザラシ「ミナゾウ」に友達はいるのか…。

水槽にそんな説明はされていないし、実際に水族館に行けば動物を追うのに必死であまりそういうことも考えない。どこかで気になっていたけど忘れていた疑問に、鳥羽水族館飼育員・副館長などを務めた著者が答えてくれる。「人間は月には足を踏み入れたことがあるが、深海に降り立った人間はひとりもいない」。ウィットあふれる文面も魅力的だ。

水族館は単なるアミューズメント・パークではなく、研究はもちろん、教育・啓発機関として大きなポテンシャルを持っていること。そして現実とのジレンマ・水族館の裏側の苦労なども綴られている。簡単な漢字にもふりがなが振られているということは、中高生向けなのだろうか。いやいや、おもしろかった。

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